Georg Friedrich HAENDEL CONCERTO en si bémol / DURAND Editions Musicales
2楽章のカデンツァについて
グランジャニーのカデンツァといえば、ハープ協奏曲2楽章の派手な終止が置かれたあとに組み込まれた総4ページ程にもわたるカデンツァです。高速のスケール(音階)の波が引いたり押し寄せたりする中、1楽章や2楽章のメロディーがポツポツと浮かび上がるような、そんな素敵なカデンツァです。
カデンツァとは、もともと奏者による即興的で妙技を披露する装飾部分でしたが、次第に作曲者が楽譜に書き残したものに従って演奏するようになったようです。グランジャニーのカデンツァも、楽譜に速度や大きさまでしっかりと指定されています。4ページにわたるカデンツァは部分部分で表情が変わり、いくつかの構成に分けられます。勝手にわけてみると、序章、一部、二部、三部の構成かなと思います。
- 序章 :速度勝負の導入部分
- 一部 :1楽章の冒頭メロディーが組み込まれた、軽やかな部分
- 二部 :2楽章のメロディーとスケールが組み合わさった、ずっこけ危険エリア
- 三部 :1楽章の後半部分のメロディーが組み込まれた、美しいメロディーや和音が響く部分
グランジャニー本人の演奏!?I
動画投稿サイト(YouTube)にグランジャニー本人による演奏らしき音声が投稿されていました。夜聞いたら、目が覚めて眠れないほど、素晴らしい演奏です。オーケストラよりも目立つほどのハープの独奏、吸い込まれそうになります。8:15あたりから、見所のカデンツァが始まります。
Marcel Grandjany – Handel Harp Concerto(YouTubeより)
粒のそろった音、芯のある音で、こんなに流れるように、そしてこんな音楽的に弾けるとは。そしてテンポが恐ろしく速いです。メトロノームとにらめっこしながら、テンポを計りましたが、その値には届きそうもありません。表現の部分は、真似できたらな、と思っています。
弾くときに心がけていること
2楽章の壮大な終止部分を終えると、このカデンツァ部分に入ります。終止部分は、言ってしまえば和音の連続なので、勢いがあれば弾けるかと思います。ただ、カデンツァに入ると一点、スピードが上がるので、非常に難しくなるように感じます。そこで、私は下の4点を特に心がけるようにしています。
- とにかく力を抜いて弾くこと
何を弾くときも力を抜くことが大事ですが、速いテンポの時はさらに力が入りやすいように思います。これは、力を抜くポイントが少ないことも要因の一つかと思います。意識的に、一呼吸できるポイントで息を吐いて力を抜き、そして少しの力でも蓄積しないように心がけています。私の場合は、右手の小指と薬指に力が入ってしまっているようです。
- 手首の位置と、肘の位置に気をつけること
楽器の高音部、低音部と手の移動がはげしいので、手首の位置や肘の位置が徐々にずれてしまいがちです。手首や肘の位置がずれてしまうと、手の形がゆがんでしまい弾きにくく、そして力が変に入ってしまいます。位置がずれていないか、よく見ることも心がけています。
- 粒が揃うように心がける
スケールを弾くとき、音の強さや速さがまばらになりがちです。連続スケールだと例えば4の音をやけに強くひいてしまうこともあります。また右手左手を交互に弾くと、左手の方が若干音が弱く聞こえてしまうこともあります。さらに、速さについては力が入って指がすべったり、指が思うように動かなかったりすると、トトトトンというなだらかなテンポのはずが、トットトトンとまばらなスピードになり、かっこ悪くなってしまいます。粒を揃えるために、音をよく聴くことを心がけるようにしています。
- メロディーが、他の音に埋もれないようにすること
スケールなどの他の音を弾くことに必死になってしまい、まるでエチュード(練習曲)のように弾いてしまい、注意されてしまうことも多いです。随所にちりばめられたメロディーを、拾いもらしのないように心がけて弾いています。
かっこよく弾ければ、この曲の見せ場になると思いますが、なかなか難しい。頭真っ白になって弾くことだけで精一杯になってしまうし、ずっこけてしまうし。これからも、練習あるのみです。